個人事業主から法人成りすると、一定の要件を満たすことで、消費税の納税義務が最長2年間免除されます。
ただし、設立時の資本金や売上高、インボイス登録の有無などによっては、1期目や2期目から消費税を納める必要があります。
この記事では、法人成り後の消費税がいつまで免除されるのかを、1期目・2期目・3期目以降に分けて解説します。免税されないケースやインボイス制度の影響も紹介するので、法人成りのタイミングを考える際の参考にしてください。
法人成り後の消費税はいつまで免除される?
法人成りすると、一定の条件を満たすことで、消費税の納税義務が最長2年間免除されます。ただし、法人を設立すれば必ず2年間免税になるというわけではありません。消費税の扱いは、設立1期目と2期目で判定方法が異なります。
また、資本金1,000万円以上で設立した法人などは、1期目から課税事業者となります。
- 1期目:基準期間がないため、原則として免税事業者
- 2期目:特定期間の課税売上高や給与等支払額なども含めて判定
- 3期目以降:原則として前々事業年度の課税売上高をもとに判定
2年間はあくまで最長期間です。法人成りによる消費税への影響を考えるときは、1期目と2期目を分けて確認する必要があります。
法人成り後の消費税が免除される理由
法人成り後に消費税が免除されるのは、消費税の納税義務を判定する「基準期間」が新設法人にはないためです。
ここでは、なぜ個人事業主から法人になることで、消費税の判定が変わるのかを見ていきましょう。
法人設立直後は基準期間がない
消費税の納税義務は、原則として基準期間の課税売上高が1,000万円を超えているかで判定します。法人の場合、基準期間は原則として前々事業年度です。
しかし、新しく設立した法人には前々事業年度がありません。そのため基準期間も存在せず、一定の例外を除いて1期目は消費税の納税義務が免除されます。
個人事業主と法人は別の事業者として扱われる
法人成りでは個人事業の仕事や取引先を引き継ぐことがありますが、個人事業主と設立した法人は別の事業者です。
そのため、個人事業主時代の課税売上高が、そのまま新設法人の基準期間の課税売上高になるわけではありません。法人設立後は、法人として消費税の納税義務を判定します。
個人事業主として消費税を納めていた人でも、法人成り後の法人が免税要件を満たしていれば、設立1期目は免税事業者となることがあります。
法人成りしても消費税が免除されないケース
法人成り後は基準期間がないため、原則として消費税の納税義務が免除されます。しかし、設立時の資本金や株主構成、インボイス登録の有無によっては、1期目から課税事業者となります。
ここでは、法人成りしても消費税が免除されない主なケースを見ていきましょう。
資本金が1,000万円以上ある場合
新設法人でも、事業年度開始時点の資本金または出資金が1,000万円以上の場合は、消費税の課税事業者となります。基準期間がない1期目でも、納税義務は免除されません。
資本金は会社の運転資金や信用力にも関わるため、消費税だけで金額を決めるものではありません。法人成りする際は、税負担への影響も含めて検討しましょう。
特定新規設立法人に該当する場合
資本金が1,000万円未満でも、特定新規設立法人に該当すると、消費税の納税義務は免除されません。
特定新規設立法人とは、他の者に株式等の50%超を保有されるなど一定の支配関係があり、その判定の対象となる者の課税売上高が5億円を超えるなど、一定の要件を満たす新設法人です。
個人事業主が単独で出資して法人成りする一般的なケースと異なりますが、親会社やグループ会社などとの関係がある場合は、該当しないか確認しておきましょう。
インボイス発行事業者として登録する場合
法人成り後の法人が、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)として登録すると、課税売上高が1,000万円以下でも消費税の課税事業者となります。
そのため、本来なら免税事業者となれる新設法人でも、インボイス登録によって消費税の申告・納税が必要になります。
一方、法人向けの取引が中心であれば、取引先からインボイスの発行を求められることもあります。法人成りの際は、消費税の負担だけでなく、取引先との関係も踏まえてインボイス登録の必要性を判断することが大切です。
2期目の消費税はどう決まる?
1期目が免税事業者でも、2期目もそのまま免税になるとは限りません。2期目は基準期間はないものの、特定期間の課税売上高などによって消費税の納税義務を判定します。
特定期間の課税売上高が一定額を超えていると、2期目から課税事業者になります。
特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合
特定期間とは、法人の場合、原則として前事業年度開始の日以後6か月の期間を指します。この期間の課税売上高が1,000万円を超えると、2期目から消費税の課税事業者となります。
なお、特定期間の判定では、課税売上高に代えて給与等支払額の合計額を用いることも可能です。例えば、課税売上高が1,000万円を超えていても、給与等支払額が1,000万円以下であれば、この特定期間の判定によって課税事業者になりません。
課税売上高と給与等支払額のどちらを判定に使うかは、一定の場合を除き事業者が選択できます。
1期目が7か月以下の場合は特定期間の判定対象外
設立1期目が短い法人では、2期目の判定方法が変わります。
1期目が7か月以下の場合、その事業年度には特定期間がないものとして扱われます。そのため、1期目の課税売上高が1,000万円を超えていても、特定期間の判定を理由に2期目から課税事業者になることはありません。
3期目以降の消費税はどうなる?
法人成り後の3期目以降は、原則として前々事業年度の課税売上高をもとに消費税の納税義務を判定します。
3期目であれば、基準期間となる1期目の課税売上高を確認します。1,000万円を超えていれば課税事業者、1,000万円以下であれば原則として免税事業者です。
また、個人事業主と法人は別の事業者として扱われるため、消費税の納税義務もそれぞれで判定します。そのため条件を満たせば、個人事業主として最大2年間、法人成り後の法人として最大2年間、最長4年間にわたって免税事業者となります。
ただし、特定期間による判定やインボイス登録などによって、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも課税事業者となるケースがあります。
法人成りの時期を検討している方は、以下の記事もあわせて確認してください。
法人成りするとインボイス制度はどうなる?
個人事業主としてインボイス発行事業者に登録していても、その登録を法人成り後の法人へ引き継ぐことはできません。個人事業主と法人は別の事業者だからです。
法人成り後もインボイスを発行するのであれば、法人として新たに適格請求書発行事業者の登録手続きを行います。
ここで注意したいのが、消費税の免税との関係です。新設法人が免税事業者となる要件を満たしていても、インボイス発行事業者として登録すれば課税事業者となり、消費税の申告・納税が必要になります。
一方で、法人との取引が多い事業では、取引先からインボイスの発行を求められることもあります。法人成りする際は、消費税の負担だけでなく、取引先との関係も踏まえて登録の必要性を検討しましょう。
法人成り後の消費税に不安がある場合は専門家へ相談しよう
法人成りでは、会社を設立する手続きだけでなく、消費税やインボイス制度など税務面の検討も欠かせません。設立時期や資本金、売上高、インボイス登録の有無によって、法人成り後の税負担が変わるためです。
「自分の場合はいつから消費税がかかるのか」「インボイス登録をした方がよいのか」など、判断に迷う場合は専門家へ相談するのも一つの方法です。
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まとめ
法人成りすると、一定の条件を満たせば消費税の納税義務が最長2年間免除されます。ただし、資本金や売上高、インボイス登録などによっては、設立直後から課税事業者となります。
そのため、法人成りを検討するときは、会社を設立する時期だけでなく、設立後にいつから消費税が発生するのかまで確認しておくことが重要です。
自分で判断するのが難しい場合は、「0円会社設立ナビ」の無料相談も活用できます。会社設立だけでなく、税務や開業準備も含めて相談しながら法人成りを進められます。


