個人事業主が法人化するメリットとは?デメリットや年収目安も解説

カテゴリー:ブログ  投稿日:2026/08/28  更新日:2026/08/28
個人事業主が法人化するメリットとは?デメリットや年収目安も解説

個人事業主が法人化すると、所得によっては税負担を抑えられるほか、経費にできる範囲が広がったり、社会的信用や資金調達の面で有利になったりする場合があります。

こうしたメリットを見ると、売上が増えたら法人化したほうが得と考えたくなるかもしれません。しかし、法人化すると社会保険料や設立・維持費など、新たな負担も発生します。

法人化で大切なのは、メリットの多さではなく、自分の事業にとってメリットがあるかを考えることです。

この記事では、法人化のメリット・デメリットと、法人化を検討するタイミングについて解説します。

法人化(法人成り)とは?個人事業主との違い

法人化(法人成り)とは、個人事業主として行ってきた事業を引き継ぐ形で会社を設立し、法人として事業を行うことです。

同じ事業を続けるとしても、個人事業主と法人では、税金や社会保険、設立・運営に必要な手続きなどが異なります。

比較項目個人事業主法人
開業・設立開業届などを提出定款作成や設立登記などが必要
設立費用基本的に不要登録免許税などが必要
主な税金所得税法人税など
社会保険原則として国民健康保険・国民年金原則として健康保険・厚生年金保険
経費事業に必要な支出を経費にできる役員報酬や一定の要件を満たす社宅など、個人事業主とは異なる仕組みを活用できる
責任原則として無限責任株式会社・合同会社は原則として有限責任
社会的信用法人との取引を条件とする企業もある法人であることが取引や採用などで信用につながる場合がある

個人事業主が法人化する11のメリット

ここでは、個人事業主が法人化することで期待できる11のメリットを紹介します。

ただし、すべてのメリットが誰にでも当てはまるわけではありません。自分の所得や事業の状況と照らし合わせながら見ていきましょう。

1. 法人税率が適用され、節税につながる場合がある

個人事業主には所得税が課され、所得が増えるほど税率が高くなる累進課税です。一方、法人化すると、会社の所得には法人税などが課せられます。

そのため、所得が一定以上になると、個人事業主として所得税を納めるより、法人化したほうが税負担を抑えられる場合があります。

ただし、どの程度の所得で法人化が有利になるかは、事業の状況によって異なる点に注意が必要です。

2. 条件によっては、消費税の納税が最大2年間免除される

法人化して新たに会社を設立する場合、資本金が1,000万円未満など一定の要件を満たすと、設立1期目・2期目の消費税の納税義務が免除されます。

消費税の納税義務は、原則として前々事業年度の課税売上高などをもとに判定します。新設法人には設立当初、判定の基準となる過去の事業年度がないため、一定の要件のもとで免税事業者となる仕組みです。

ただし、資本金が1,000万円未満であれば、必ず2期免税になるわけではありません。特定期間の課税売上高など一定の条件に該当する場合や、インボイス発行事業者として登録した場合などは、消費税の申告・納税が必要になります。

3. 家族へ役員報酬や給与で所得を分散できる

法人化後、家族が役員や従業員として会社の業務を行っている場合、役員報酬や給与を支給できます。

一定の要件を満たせば、これらを法人の損金に算入することも可能です。経営者一人に所得を集中させず家族へ分散することで、世帯全体の税負担を抑えることが可能です。

4. 経費として認められる範囲が広がる

法人化すると、個人事業主よりも経費として計上できる範囲が広がります。一定の要件を満たせば、次のような費用を経費にできます。

  • 社宅の家賃
  • 出張時の日当
  • 福利厚生費

経費にできる範囲が広がることで、課税所得を抑え、節税につながります。

5. 社会的信用が高まり、取引や採用に有利になる

法人化すると、会社名や所在地などが登記されるため、取引先や求職者からの信用を得やすくなります。

また、法人として事業を行うことで企業としてのイメージを持たれやすくなり、新規取引や採用につながることもあります。

法人との取引や人材採用を増やしていきたいなら、信用力の向上は法人化のメリットになるでしょう。

6. 資金調達の選択肢が広がる

事業を拡大するには、設備投資や人材採用など、まとまった資金が必要になることがあるでしょう。

法人化すると、銀行融資に加えて、投資家から出資を受けるなど、資金調達の選択肢を広げられます。法人を対象とした補助金・助成金を利用できることもあります。

7. 代表者に退職金を支給できる

個人事業主は、自分自身に退職金を支給して経費にすることはできません。一方、法人では、一定の要件を満たせば代表者や役員へ退職金を支給し、損金に算入できます。将来の退職金を準備しながら、税負担を抑えられます。

8. 赤字(欠損金)を10年間繰り越せる

法人では、一定の要件を満たせば、事業で生じた欠損金を最長10年間繰り越せます。

繰り越した欠損金は、将来生じた利益と相殺し、その事業年度の課税所得を減らすことが可能です。設立直後の赤字を、その後に利益が出た年度へ繰り越すことで、税負担を軽減できます。

9. 決算月を自由に設定できる

個人事業主の事業年度は1月から12月までですが、法人は決算月を自由に設定できます。繁忙期を避けて決算月を設定すれば、忙しい時期と決算業務が重なるのを避けられます。

売上が増える時期や資金繰りなども考えながら、自社の事業に合わせて決算月を決められるのがメリットです。

10. 有限責任となり事業上のリスクを抑えられる

株式会社や合同会社の出資者は、原則として出資額を限度に責任を負う有限責任です。

個人事業主は事業上の責任を個人で負うのに対し、法人では会社と個人の財産を分けて事業を運営しやすくなります。

ただし、代表者が融資の個人保証をしているケースなど、個人が責任を負うこともあります。

11. 事業承継が進めやすくなる

個人事業主の場合、事業主が変わると、事業用の資産や契約などをそれぞれ引き継ぐ必要があります。

法人であれば会社そのものは存続するため、株式の譲渡や代表者の変更などによって、事業を次の世代へ引き継ぐ方法を選べます。

個人事業主が法人化する際のデメリット・注意点

ここまで紹介したように、法人化には様々なメリットがあります。しかし、法人になることで新たに生じる費用や手間もあります。

メリットだけで法人化を決めるのではなく、増える負担もあわせて確認しておきましょう。

法人化には費用がかかる

個人事業主は基本的に費用をかけずに開業できますが、法人を設立するには登録免許税などの法定費用がかかります。

株式会社の場合は定款の認証も必要です。さらに、司法書士などの専門家へ設立手続きを依頼すれば、その報酬も発生します。

また、設立時だけでなく、税理士への報酬や登記内容を変更する際の費用など、設立後にかかる費用もあります。初期費用だけでなく、会社を維持するための費用まで見込んでおきましょう。

社会保険の加入による負担が増える

法人は、代表者一人の会社であっても、原則として健康保険・厚生年金保険への加入が必要です。

保険料は会社と役員・従業員がそれぞれ負担するため、法人化すると会社側にも社会保険料の負担が生じます。従業員が増えれば、その分会社が負担する保険料も増えていきます。

法人化による税負担の変化だけでなく、社会保険料まで含めて事前に試算しておきましょう。

経理や事務作業の手間が増える

法人化すると、個人事業主よりも経理や事務の手続きが複雑になります。

例えば、法人としての帳簿管理や決算、法人税の申告に加え、税務や社会保険に関する各種手続きへの対応も必要です。

自分ですべて対応するのが難しければ、税理士などへ依頼することになり、費用が増えることもあります。

赤字でも発生する税金がある

個人事業主は、事業が赤字で課税所得がなければ所得税は原則として発生しません。一方、法人では赤字であっても、原則として法人住民税の均等割が課されます。つまり、利益が出ていない年度でも一定の税負担が残ってしまうのです。

特に利益が安定していない段階で法人化するなら、赤字になった年も含めて継続的な負担に耐えられるかを確認しておく必要があります。

個人事業主が法人化を検討すべきタイミング

所得がいくらになったら法人化すべきかは、法人化を考えるときによく出てくる疑問です。一般的には、所得800万円前後が法人化を検討する一つの目安とされています。

ただし、所得だけで法人化のタイミングが決まるわけではありません。売上が1,000万円を超えているか、今後も利益が続きそうか、従業員を増やす予定があるかなど、事業の状況によって判断は変わります。

一時的に所得が増えただけなら、法人化によって社会保険料や会社の維持費が増え、かえって負担が大きくなることもあります。

現在の所得だけでなく、今後どのように事業を展開していきたいかまで含めて考えることが、法人化のタイミングを判断するポイントです。

個人事業主が法人化する流れ

法人化を決めたら、個人事業をそのまま法人へ切り替えるだけ、というわけにはいきません。新しく会社を設立し、その後に税務や社会保険などの手続きを進めます。

大まかな流れは次のとおりです。

  1. 会社の基本事項を決める:商号(会社名)、本店所在地、事業目的、資本金、役員などを決めます。
  2. 定款を作成し、会社設立登記を行う:会社の基本的なルールを定めた定款を作成し、法務局へ設立登記を申請します。株式会社では定款の認証も必要です。
  3. 税務・社会保険などの届出を行う:設立後は、税務署や自治体、年金事務所などで必要な手続きを進めます。

法人化では、会社を設立して終わりではなく、その前後に様々な手続きが発生します。自分ですべて進めるのが難しければ、司法書士や税理士などの専門家、会社設立支援サービスを利用する方法もあります。

法人化に迷ったら「0円会社設立ナビ」へ相談

ここまで見てきたように、法人化にはメリットもあれば、新たに増える負担もあります。だからこそ、「所得が❍万円を超えたら法人化」といった一つの基準だけでは決めにくいのが実際のところです。

自分の事業に合ったタイミングを判断したい場合は、「0円会社設立ナビ」の無料相談を活用する方法があります。専門家と連携しており、法人化のタイミングから会社設立に必要な手続きまでサポートを受けられます。

さらに、法人口座の開設や会計ソフトなど、設立後の開業準備もまとめて相談可能です。法人化すべきか迷っている段階から、実際に会社を動かし始めるところまで相談したい方は、活用してみてください。

法人化に関するよくある質問

最後に、法人化を検討するときによくある疑問について回答します。

法人化のメリットは節税だけですか?

法人化のメリットは節税だけではありません。

法人化によって社会的な信用を得やすくなれば、新しい取引や採用につながることがあります。銀行融資や投資など、資金調達の選択肢を広げられることもメリットです。

そのほか、退職金の活用や事業承継など、事業を長く続けたり、大きくしたりする上で役立つ仕組みもあります。具体的なメリットについては、「個人事業主が法人化する11のメリット」で詳しく紹介しています。

法人化したほうがいい年収はいくらですか?

法人化を検討する目安として、一般的に所得800万円前後が挙げられることがあります。

ただし、同じ所得でも、事業内容や経費、役員報酬、社会保険料などによって法人化後の負担は変わります。そのため、「800万円を超えたら法人化したほうが得」と一律に判断することはできません。

個人事業主のまま続けたケースと法人化したケースの税金や社会保険料などをシミュレーションし、比較するとよいでしょう。

法人化しないほうがいい人はいますか?

法人化によるメリットが小さく、個人事業主のまま続けたほうがよいケースもあります。

例えば、所得がまだ安定していない段階では、法人化によって増える設立費用や社会保険料などが負担になることがあります。また、取引や採用などで法人格を必要としておらず、個人事業主のままでも問題なく事業を続けられるなら、急いで法人化する必要はありません。

法人化すること自体を目的にせず、今の事業にとって法人化する意味があるかを考えてタイミングを決めましょう。

まとめ

法人化には、節税につながる可能性があるだけでなく、社会的な信用の向上や資金調達の選択肢が広がる、事業承継を進めやすくなるなど、様々なメリットがあります。

一方で、設立費用や社会保険料の負担が増え、経理や事務の手続きも複雑になります。法人化のメリットだけを見るのではなく、こうした負担も含めて検討することが大切です。

自分の事業にどのメリットが活かせるのかを考え、事業規模や今後の計画に合ったタイミングで法人化を検討しましょう。

今の事業に法人化が合っているのか、いつ法人化すべきなのか迷ったときは、「0円会社設立ナビ」の無料相談も活用してみてください。

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